トロントアイランドの沖合に細長い岬が見える。トミートンプソンパークだ。

ふだんダウンタウン側から眺めることはあっても、実際にこのパークに行った人はそう多くはないようだ。

トミートンプソンパークは、レスリー・ストリートのオンタリオ湖に突き出た部分「レスリー・ストリート・スピット(出洲)」にある。じつはその昔、ドンリバーの川口やレイクショア・ブルバードの南側一帯は沼地だったそうだ。これを埋め立て、1920年代に現在のチェリービーチまで土地が造成された。

一方、1960年代からレスリー・ストリートから湖に向かって埋め立てが始まった。主にTTC(トロント交通局)の地下鉄工事で出てきた土砂や岩石をトラックで運んで埋め立てに使った。

現在は建築ブームのせいもあって、トロントおよび近郊のビル建築現場から解体された鉄筋コンクリートや廃棄物などが続々と運び込まれている。埋め立てられて出来た「岬」は突端の灯台が建つヴィッキー・キース・ポイントまで延びている。

トミートンプソンパークでは、ダンプカーがウィークデー(月曜〜金曜)に往来するので部外者は立ち入り禁止。一般の人は土曜と日曜、祝日のみ入ることができる。入場ゲートは午前9時から午後6時までオープン。

さあ、夏の週末、祝日をハイキングまたはサイクリングで楽しんでみよう。ジョギング、ローラーブレードもOK。しかし、車の乗り入れは禁止、ペット不可。

レスリー・ストリート×Unwin Avenue のゲートの外側およびゲート内に無料駐車場がある(ただしゲートは午後6時に閉まるのでゲート内側での駐車はご注意を)。

入り口ゲートでまず案内掲示板に目を通す。パーク内に生息するさまざまな野鳥や野生動植物について詳しく説明してある。

ゲートから灯台までの距離は5キロほどある。往復10キロになるので、全行程を歩くにはかなりのエネルギーを要する人もいるにちがいない。そのような人のため、夏期にはゲートから3・5キロの地点までシャトルバンが運行されるという。

筆者は自転車で出発した。道路はアスファルトで、週末はダンプカーなど車がいっさい通らないので安心して快適なサイクリングが楽しめる。

所々に横へ入る小道があって、林の中を通り抜け、水辺に行ってみる。あじさし(カモメ科の鳥)の巣作りいかだ、野鳥観察ステーション、パイク(魚)の産卵場所など見学する。

そのあと水路に架かっている歩行者用の橋を渡る。渡るとすぐ右側にビーバーの生息スポットを見下ろす展望台のような場所が…。写真マニアだろうか、望遠レンズ付きカメラを構えてシャッターチャンスを狙っている。

しばらく行くと、「ネスティング・グラウンド」に通じる小道があって、再び林の中をペダルを踏んで進む。グワー、グワーと騒々しい鳥の鳴き声が耳に入ってくる。鵜(う=Cormorant)の大群だ。

はこやなぎの木々に無数の鵜が止まったり、上空を飛んだりしている。よく見ると、巣がたくさん。6000個以上の巣があるそうだ。はんぱじゃない。鵜の集団としては五大湖の中でここが最大なのだという。

はこやなぎの木は鵜のふんのために枯れ果ててしまい、その光景は不気味でさえある。いま、自然愛好家の間で鵜を駆逐すべきかどうか議論しているとか。

いよいよ岬の突端に到着。ゆるやかな坂を上って灯台の下に。わあー、ここから眺めるダウンタウンの風景は絶景だ。トロントアイランドの向こうにCNタワー、ロジャースセンター、高層建築群などが美しくまとまっていて一幅の絵を眺めるようだ。

記念にと、これらをバックに愛車(自転車)と写真に収まる。

帰り道はトライアングルポンド(池、ビーバーの巣がある)の三差路で右の道路に入る。ここは沼地を囲む形で岬の東側に沿って道ができている。沼地にはグース、しらさぎ、白鳥、アヒルなどの野鳥が群れ遊び、カメやカエルが見られる。

ゲートの方向に近付くあたりは、鉄筋がむき出たコンクリートの塊や、さびた鉄骨などがどっさり湖畔に捨てられてある。ははーん、ここが現在の埋め立て作業地か。

ゲートまで戻り、周遊コースを無事終了。今回は見られなかったが、このほかにもたくさんの種類の小鳥、チョウ、水生植物、フクロウ、コウモリなどもいるのだそうだ。いずれにせよ、自然や野生動植物と身近に接するよい機会であった。あなたもこの夏、訪ねてみてはいかがですか?

■インフォ
www.friendsofthespit.ca
www.waterfrontoronto.ca

■野鳥案内
www.torontobirding.ca
www.ttpbrs.ca