酒の原料は日本から

このグランビル・アイランドという場所は特色のあるところで、1930年代に沼地を埋め立てて軽工業、工房(クラフト)、倉庫などの施設を造ったのです。今でもコンクリート工場など残っていますよ。でもだんだん廃れてきて、これではどうしようもないということで、カナダ連邦政府がかなりの資金を投入して再開発を行い、今ではパブリックマーケットやアーティストの工房がたくさん出来て、世界的な観光地になっています。

アーティザン・サケメーカーの場所も以前は倉庫だったところですが、なるべく昔の面影をこわさないように改築したので、こんな太い梁(はり)や柱も見えるように保存してあります。

工房とテイスティングと販売エリアで800スクエアフィートとそんなに広くないです。ビジネスを始めるには、生産とリカー販売をするのに市、州そして国からのライセンスが5つも必要なんですよ。

アーティザン・サケメーカーの酒造りは、タンクから発酵したもろみを取り出す時と搾った酒を貯蔵タンクに移動する時だけポンプを使いますが、あとは全部手作業です。16〜17世紀頃と同じ方法ですよ。原料の酒米と麹(こうじ)は日本産です。

製法は三段造りといって、20リットルの小さな仕込みタンクで酒母を作ります。これは純粋酵母を増やすためです。雑菌や他の種類の酵母が混ざらないよう、一番気を使うところです。

次に200リットルのタンクに移し、数日培養。最後に1000リットルのタンクに移します。この間、麹、米、水を足していきます。

最終の留め仕込みまで1週間かけ、その後24〜25日発酵させるのですが、この大きなタンクで、2メートル近い長さの櫂(かい)を隣の工房で作ってもらい、よく発酵するように毎日満遍なくかき回しますから、体力がいります。56歳を過ぎてから始めた仕事ですから大変体にこたえますよ。

発酵が終わると酒袋に入れて、それをフネというステンレスのボックスに入れ、重しをかけ2日ほどかけて、ゆっくり搾り出します。あまり急いで搾ると苦味が出たりします。

搾り出した原酒は、氷点下の温度で3週間以上寝かせてオリ(滓)を沈めます。この上澄みが生の原酒です。ボトリングも機械を使わず、5〜6人で丸一日かけて手で詰めています。

現在、原酒、純米酒、にごり酒、吟醸酒のすべて、生酒で販売していますが、スパークリング酒はクリスマスなどのセレブレーション時期に合わせて製造しています。