――海外で活動していると、日本人であることに何かハンディを感じることがありますか?

デビューしたての頃は、外国の方に引けを取らないようにと気負っていた時期も実際にありましたが、結局は、そこからはいい結果は生まれないのを後になって悟りました。

それよりも自分が日本人であるということを認め、それをどう生かしていくかと考えた方が可能性が広がっていきます。

私にとって、こうやって海外の舞台で日本人として蝶々夫人を演じることができるのは、なによりも光栄なことです。

――大村さんにとって、今まで一番思い入れが深い役は?

ヴェルディ作曲「ドン・カルロ」のエリザベッタの役です。最初に楽譜を読んだだけで、涙が止まらなくなりました。

また、私はクリスチャンなので、教会で聖歌を歌うことも大切にしています。

――世界各国を回ってオペラを歌うには健康管理が一番だと思いますが、何か特別な訓練とかされていますか?

身体は昔から健康なので助かっています。一度、 度の熱があるのに舞台に立ったことがありますが、もう舞台に立つと体調の悪いことなどは忘れてしまいます。しいていえば、少しでも体調が悪いと思うときは寝るに限りますね。

――最後に、「ある晴れた日に」大村さんだったら何をしますか?

(少々考えてから)散歩をします。自然の中でのんびりするのが大好きです。この後はスペインと日本で公演がありますが、8月にお休みがもらえますので、家族で信州高原に旅行に行くのを今から楽しみにしています。

世界的なオペラ歌手でありながら、気さくで純真、凛(りん)とした顔立ちは、まさに蝶々夫人そのままである。

今回の公演は、大村さんにとって北米では初めての公演であったが、この成功が大きな自信と実績につながることだろう。

最後に、「モントリオール在住の日系の方々によろしくお伝えください」と言った言葉がジンと胸にしみた。

大村博美(おおむら・ひろみ)

東京芸術大学声楽科、同大学院卒業後、ミラノに渡る。
1998年、マントヴァ国際コンクール最高位(1位なしの2位)を皮切りに、マルセイユ歌劇場国際オペラコンクール第1位など数々の栄誉に輝く
。 2002年にヴェルディ作曲「椿姫」の主役で本格的なデビューを飾ってからは、パリ・オペラコミックに出演するほか、ロレーヌ国立歌劇場「フィガロの結婚」伯爵夫人、メッス歌劇場「蝶々夫人」主役などで満場の喝采を浴びる。
日本では、2006年に新国立劇場「ドン・カルロ」エリザベッタでの圧倒的な演唱が高く評価され、2007年に新国立劇場「カルメン」ミカエラで出演し絶賛を博す。
現在はパリ近郊に在住し、主にヨーロッパや日本を中心に活躍している。二期会会員。